日本の受験教育システムの罠
- Kaaisan
- 2023年10月7日
- 読了時間: 5分
私がそこそこの進学校を出たからか、いわゆるエリートな道に進んだ人を結構知っている。
そのうち某商社にいる知人が
「お金はもらえるけど、趣味も特にないし人生が楽しくない」
とこぼしていた。これ、あるあるだよね。
私自身、大学卒業後に入った会社では2年半、家と会社を往復するサラリーマン生活をした。7時ごろの電車で出勤し、17時過ぎの電車で退勤する生活。何も貢献していない新入社員でもボーナスが出て、休みも多くて、勤め先としては申し分なかった。
仕事のなかに「楽しい」と感じられることが無いかというと そうでもないし、別にきつくもないから辞める必要はない。第一、辞めたところで、自分のウリになるような強みもスキルも無い。このまま職場と家を往復して、定年になるのかな・・・と思うと暗い気持ちになった。
これが、日本の受験教育システムの罠だと思う。
そんなことを考えていたときに、成田修造さんのツイートと出会った。(成田悠輔さんの弟がこういう発信をされているのは知らなかった)

なによりの罠は、楽しくもない受験勉強を頑張ってきた人ほど、この金太郎飴的な世界に縛られてしまうこと。「○○大学を出たのに」「○○社に入ったのに」という考えに引きずられて、つい面白くない職場での生活で自分のこうなりたい、を潰してしまう。
こうした一般的な道に慣れてしまった人たちには
「こんなのあるよ!やってみない?」と誘っても、何かにつけてできない理由を並べられることが多い。ストッパーが凝り固まってしまっていて動けない。
恐ろしいのが、これには感染症的な特徴があること。
こういう人に囲まれていると、つい思考回路が同期してくるのか、一生コンフォートゾーンを抜けられない。そうしてだんだん創造性、自分の頭を使う習慣を失っていく。
もちろん、仕事が全てではないし、だからこそ家庭を持つことの幸せが目立つのだけど。
週に何十時間もかけるものをオモシロイと感じられることの価値は、もう少し重要視されるべきだと思う。
こうした優秀な人たちは、適切な場があればきっと輝くし、そういう人材が求められている組織や地域はごまんとあるのに。こういう人たちが輝くことで、きっと日本はもっと元気になるのに。
受験や就活を”いなす”
じゃあ成田さんの言うように、受験戦争に巻き込まれずに育たないと望みはないのか?
自分自身の経験を振り返ってみると、受験戦争/就活戦争を経験したことはムダだったとは思わない。この経験があることによって「一般的な感覚」を持ち合わせることができた。結局この「一般的な感覚を持ち合わせた人」が大半を占めている社会の中では、共通言語が話せること・同じ目線で話せることはマイナスにならない。
そういう意味で、私にとっては”いなし”ながら受験や就活をするというスタイルがちょうど良かった。一歩引いたところで「まぁうまく行かなくても何かしらの道があるさ」とか「お金を稼ぐ方法は就職する以外にもあるでしょ」と思っておくこと。
何の根拠もなくそう信じてきて8年9年が経った。
受験や就活戦争を同時期に戦ってきた同世代たちが選んだ道の全貌が徐々に見え始めている。
人の幸せは主観的なものなので、本人が幸せだと感じていればそれが正解なのだけれど。
冒頭で紹介した、エリートサラリーマンの知人のように感じる人が一人でも少なくなってくれればいいな。
少なくとも私は人生を楽しいと感じているし、この生き方をしている私だからこそ話せることって、あるんじゃないかと思う。これからの世代が進路を決めていくときに、昔の私のように「こんな道があるなんて、誰も教えてくれなかった!!!!」と思ってほしくない。
高校にも行かずにプログラミングしてたよ、とか在学中に起業したよ、なんていう異次元な世界の話をされても自分ごとにしづらいと思うし、私が後輩に伝えられることは機会を作って伝えていきたいと思う。
仕事の中に楽しみを見出すな
ここで思い出してもらいたいのが、私が新卒で入った会社での話で書いた
「仕事の中に楽しいと思えることが全く無いわけではないし・・・」と感じていたこと。
器用な人、我慢強い人ほど、この能力が高いんじゃないかと思う。基本、試験の勉強なんて楽しくないしね。でも、それの中にもなんとか楽しみを見出して続けてきた。その技を、こういうところでも使ってしまう。
見落とされがちだけど「今の仕事のなかに楽しみをみいだす」のではなく「楽しみのなかに仕事を見出す」という視点が本当に重要。楽しもうと努力する必要がないし、楽しいから時間や労力を費やすのが苦じゃない。
まだ就職していない人はラッキー。これから仕事を探すときに
「この会社に入りたい。この会社が求めるのはこんな人。私はこれに当てはまる」という会社起点の志望動機ではなく
「私はこんな人。こんなことがしたいと思っていて、この会社はそれをまさにやっている」という、自分起点の志望動機が書けるかどうか。そこをポイントに考えてみてほしい。
と、ここまで書いておいて そもそも、会社員になることが自分の幸せに寄与するのか?は、一度考えてみるといいかもしれない。
ちょうど先日、日本に暮らすオーストラリア人の友人が
「やりたいことと給料を両方得るのって、難しいよね。事業経営者とフリーランスの人って、この国で一番ハッピーなんじゃないかな」と言っていたことが印象に残っている。
他人に迷惑をかけない範囲で、ちょっとわがままかな?と思うくらいが、ハッピーに生きられる秘訣なのかもしれない。
↓以下、私が就職活動期に見てくらーい気持ちになった、学生制作の動画。
見事にあの辛さや苦しさが表現されているので、見てみてね。
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